我が国への関わりも深いイギリスの美術・文芸評論家のハーバート・リードは、およそ100年前にこんな言葉を残しています。
「我々は、個性的で、新しく工夫され、感情のこもったものを指し示す一つの言葉が欲しい。人間と彼の意志によって形づくられたものとの間に存在する関係を指し示す一つの言葉が欲しい。つまり、我々の理想が現実におよぼす効果を表す言葉、我々が愛する仕事を表すような言葉が欲しい(略)」※1と、創造的であることの意義を説いています。
本校は「クリエイティブこそ社会形成の要である」ことを堅く信じ、表明し続けています。そして学生は創造性の学びを清新的に実践し、その大義を社会に先立って確かめているのです。
現代は消費文化が主流であり、経済価値が個性の自由を圧迫しています。目的のために新しく工夫することよりも、いかに早くそして多くの利益を手にするかが優先される時代なのではないでしょうか。
大量消費に基づいた産業構造は経済や教育に、ひいては人生の進路にも偏りを生じさせ、大都市への人の集中をもたらしています。本来は地域にあるべきリアルな視点が、都市モデルの視点によって焦点を失っています。
我々は、今いる場所でしっかりとリアルな視点を持ち、人間本来の豊かさを求めましょう。美術は趣味や鑑賞、ましてや投機の対象だけのものではありません。デザインワークをあらゆる仕事や生活に活かし、そしてアートをあらゆるメディアに及ぼしましょう。
来たるべき社会のための、創造性の学びへ、ようこそ。
※1「児童心理」1955年/ 勝見勝著作集 / 第1巻美学・教育論に収録
学校法人クリエイティブA 理事長
長野美術専門学校 校長
プロフィール
1953年生まれ。1976年に多摩美術大学デザイン科卒業後、日本デザインセンター入社。主にトヨタ自動車の国内宣伝部門、海外宣伝部門のグラフィックデザイン、アートディレクションを担当。1985年、長野美術専門学校入職。2005年、長野美術専門学校校長就任。
一般社団法人長野専修学校各種学校連合会理事長、クリエイティブファクト株式会社 代表取締役、社団法人グラフィックデザイナー協会会員