社会と共に学ぶってどういうこと?

表彰記念品コンペが開催され二人が受賞
「社学連携活動」は、美専が長年精査を重ね、学修課程に最適化した取り組みです。ここでは、"社会と共に学ぶ"ことを掲げ、学生の実践的な学びのみならず、社会にとってのクリエイティブの必要を浮かび上がらせることを目指しています。つまり美専は、クリエイティブの学びは学生の課題というだけでなく、社会全体の課題と認識しているのです。
本年度行なった「社学連携活動」の内、今回取り上げるのは、クリスタルトロフィーなど表彰記念品を開発する「メイクワン」という地域の企業と行なった表彰記念品の開発です。はたして、「社会と共に学ぶってどういうこと?」という問いの答えにつながるでしょうか。
表彰記念品デザインコンペ2024の受賞は2作

登龍門トロフィー/ビジュアルデザイン科3年制学科3年次の長浦梨音さんの受賞作
メイクワンの坂入治朗社長が紹介
「登龍門トロフィー」
成功へと至る難しい関門を突破したことをいうことわざである「登龍門」という言葉からヒントを得たデザインで、 激流の波を乗り越えた鯉たちは龍になることができるように、困難に立ち向かい努力した人にしか得られない素晴らしい結果を表彰するためのトロフィーとして、大人の方がもらっても喜ばれるように高級感を意識しています。※プレゼン資料からの要約
楽譜本トロフィー/ビジュアルアート科2年制学科2年次の今村小春さんの受賞作
「楽譜本トロフィー」
コンセプトは、「音楽の想い出が飛び出す音楽とオブジェ」トロフィ。音楽の分野で優秀な成績を収めた人たちに贈られます。 優秀な成績とは、様々な人の協力と支えあってこその成果です。 さらに、トロフィーは成績だけでなく努力した思い出、一緒に高め合った「人」でけでなく「楽譜」にも詰まっているので「仲間と楽譜を胸に、努力したことを忘れないで欲しい」 そんな願いをこめてその「楽譜」が、本から飛び出したようなデザインでワクワク感を演出しています。※プレゼン資料からの要約
メイクワンの社長さんと美専生に聞きました
坂入治郎社長:私たちを初心に戻らせてくれるコンセプトがたくさんありました。
今回応募の全部の作品に共通しているのが、「もらった人が絶対喜ぶ」というところ。「もらった人が喜ぶ」というのが、表彰記念品では1番重要なことです。それが応募作の全部に入っていたっていうのがとても良かったです。このコンペに参加していただいた方は「何をあげたらもらった人は喜ぶのだろう」とか、「どうやったら楽しくなるんだろう」とかそういうことを考えたと思うんです。社会に出てデザインとかモノ作りをすることって、結局は「他者に、自分以外の誰かに喜んでもらう」ところに帰結します。今みなさんは学生で若いですから「自分の技術や知識を蓄える」とか、そういうところで自分の好きな絵とか技術を試していると思うんですが、社会に出るともっと他人が関わってきます。結局仕事とか働くことは「誰かの役に立つ」とか「誰かを喜ばせる」ということだと思うんです。
美専生の作品には、私たちを初心に戻らせてくれる面白いコンセプトがたくさん有りました。うちの会社のビジョンは、「"ありがとう"を社会に広げよう」です。「いい影響を世の中に広げていこう」という会社ですので、ぜひ興味があれば気軽にうちの会社がどういう会社なのか工場に見学に来てください。「ああ、楽しく働けるな」と思ってもらえれば、それもすごく嬉しいですので、ぜひうちの会社に見に来てください。
長浦梨音:「もっと何かないのか」とすごく悩みました。※写真(右)
今村小春:「自分が嬉しくないと記念品として成立しないかな」と思った。※写真(左)
長浦梨音:
トロフィーというもののデザインを考えたことがなくて、「もしトロフィーを自分が貰うとしたら、どんなコンセプトだったら嬉しいかな」ということをまず考えました。アイデアが出るまですごく時間がかかって、どうしようかなとすごく悩んで、悩んだ末に「滝の流れに遡っていく鯉の姿」のイメージが湧いてきて、それを今回トロフィーにしてみようと思いました。トロフィーの課題は「自由に作ってください」ということではあったんですけど、大きすぎてもいけないし、ラフからデザインを起こしてトロフィーっぽくするのが結構大変でした。
デザインを3年間学んできたので、将来はそれを発揮できる職業に就きたいと思っています。今回みたいに、もらった人を笑顔にしたり、幸せにしたりできるのが、 自分でもやっぱり嬉しいので。働いていてやりがいっていうのを感じられそうです。今回の受賞は頑張る力になります。
美専の3年間は、やっぱり学びがすごいぎゅっと詰まっていて。私はデザインを3年間学んできたんですけど、お店に行ったりすると、デザインされたものを見ると「ここ直したいな」みたいに考えるようになって。「デザイン思考が身についているのかな」とか思ったりします。入学した時のこと、昨日みたいにずっと覚えていて。やっぱり3年間あっという間だったんですけど、すごくいい仲間にもいっぱい会えましたし、 学びもすごくたくさんあって。学生生活はやっぱり中高時代とはまた違って。すごく充実していたなっていう感じです。」
今村小春:
まずコンセプトを決めるにあたって「自分が嬉しくないと記念品として成立しないかな」と思って。実体験から考えたらデザインしやすいかなと思いました。私が中学、小学校と合唱部だったので、音楽から着想を得ました。合唱って練習が必要ですよね。人との関わりもそうですけど、一緒に練習した"楽譜"にも色々詰まっているんじゃないかなと目を向けてみました。
製品のデザインは、正直すごく難しかったです。立体物にするという時に、見た目のインパクトが大事かなと思いました。楽章によって色が変えられたら素敵だなと思って、ああいう形におさまったという感じです。
就職が決まり、ものづくりの道に進むことになり、美専での生活も残りわずかですが、この学校には行ってやっぱり私の性格が180度ぐらい変わっちゃって。絵のことももちろんですけど、「人が好きになった」っていうのもあって。色々な人たちみんな親切で優しくて。自分の好きなもの一緒に高め合えるのがすごい性に合ってたなって思います。
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